FX評価損
デイトレーダーたるもの「評価損」という現実を直視せよ  こんな場面を想像してほしい。あるデイトレーダーが、寄付で「銘柄A」を200円で買ったとしよう。終値は190円だった。この人は、デイトレーダーなのにもかかわらず、日計り損切りを躊躇(ちゅうちょ)してしなかった。   夜間取引でも、185円で売るチャンスがあったにもかかわらず、また売りを見送った。そして、その晩のNYダウは大幅安。翌日のその「銘柄A」は予想通り、売り気配のスタートとなった。ようやくあきらめたそのデイトレーダーは、「銘柄A」を180円で売却した。  このケースで直視すべきは、実際損をしたのは20円(=200円-180円)だが、200円が前日の大引け時点で190円に減ったという現実である。つまり、元本はすでに190円に減っているが、その時点で売らなかっただけである。「売っても190円、売らなくてもお前の200円は190円になったんだよ」といってあげたい。  投資初心者中心に、売らなければ損はしないという都市伝説的な迷信がまかり通っているようだが、実現損だろうが、評価損だろうが、損は損なのだ。デイトレーダーたるもの、実現損も評価損も同じ損と、現実を直視することを心掛けなくてはてはならない。 FX取引、FX初心者、くりっく365、 FX口座開設、FX資料請求 「いくら」でなく「率」で考えよ  では次に、この20円の損について、もっと掘り下げて考えたい。まず、引けの190円で売っていたら10円の損だった。しかし売った時点では180円に下がっていたので、20円の損をしたわけだ。投資の初心者は「結局は合計20円の損じゃん!」と思うかもしれない。  FX  しかし、デイトレーダーたるもの、そう考えるべきではない。同じ10円でも、意味合いがまったく異なるのだ。大引けの評価価格190円からみて、翌日の寄付の180円は10円の評価損の増加と考える。単に20円損したわけではない。デイトレーダーには、「いくら」でなく「率」で思考することが必要だからだ。  まず、前日の損は200円に対する10円であり、その割合は5.00%(=10円÷200円×100)だ。そして、翌日の10円については、前日の終値190円からの割合で考える。つまり、前日の大引けから、翌日寄付までの損実拡大分の10円は元本に対して、5.26%(=10円÷190円×100)のヤラレであり、同じ10円でもヤラレ率が大きくなっているわけだ。  では次に、ヤラレを取り返すことを考える。 まず、大引けの190円で売っていた場合、損失の10円を投資で獲得して、元本の200円を取り返すには、5.26%(=10円÷190円×100)の利益を獲得しないとならない。ヤラレは、当初元本の200円からみれば、5.00%(=10円÷200×100)でしかないのに、190円に投資元本が減った分、0.26ポイントも、元本回復のため余計に稼ぐ必要があるのだ。  また、180円でブン投げた場合は、元本の200円を取り返すためには、ヤラレは当初元本の200円からみれば、10%(=20円÷200円×100)でしかないのに、元本が180円にまで減ってしまうと、200円回復には、11.11%(=20円÷180円×100)の投資収益を獲得しないとならず、こちらは1.11ポイントも余計に稼ぎ出す必要が生じるのだ。 FX  元本を減らせば減らすほど、当初元本を取り返すハードルは高くなる。だからこそ、デイトレーダーは、いかに元本を減らさないかを考えるべきなのだ。もちろん、百発百中で銘柄が当たればその必要はない。しかし、現実はそう甘くはないだろう。だからこそ、ヤラレを最小限の抑える投資を志向しないとならない。 ヤラレを取り返す場合も「率」で思考せよ  話は戻るが、先述の180円で売ったあきらめの悪いデイトレーダーは、当日の大引けまでの売るチャンスを逃し、夜間でも売るチャンスを見送り、最後の最後の安値でブン投げた愚かなデイトレーダーとなった可能性がある。もちろん、前提さえ変えれば、そうはならないだろう。たとえば、その晩のNYダウが急騰して、翌日のその銘柄を200円で売れたとか…。  だが、デイトレーダーは相場に対して臆病かつ謙虚であるに越したことがないと思う。「所詮、自分ごとき小市民の願った方向には相場は動いてくれないものだ。明日の相場は、自分の期待した方向にはいかない可能性が高い。だからこそ、最悪のことを考えて、今日できる最善の策はなんなのか必死に考え、実行しよう」と心掛けるべきなのだ。  その最善の策こそ、どうしたらヤラレを最小限に抑えることができるかを熟慮し、かつ、そのヤラレを「値幅」でなく「率」で考える習慣をつけ、その思考回路から導き出された結論を実行することに他ならない。  もし、ある友人が「俺、あの銘柄で100万円儲かったことがあるよ」とニコニコ顔で自慢したら、冷静に、「いくらの投資元本で、何日かけて、あなたは100万円を儲けたのですか?それと、最大評価損はいくらでしたか?」と真顔で尋ねるような思考回路を持つデイトレーダーになるべきなのだ。 デイトレ向きは「HV」が高い銘柄である  今回はデイトレに適した銘柄選びについて述べよう。デイトレに適した銘柄群とは、@短期的に市場での人気、もしくは注目度が高い銘柄ということになる。そして、A値動きが激しくなくてはならない。この2つの条件を満たした銘柄が、デイトレ向きの銘柄である。 FX  この2つの条件を満たしているかどうかを示す指標として、ヒストリカル・ボラティリティ(HV)を参考にするのがお勧めだ。このHVは、過去一定期間に株価が変化する過程で、どれだけ上下にばらつきながら変化してきたか、というバラツキ具合の大きさを表す数値である。  HVは歴史的変動率であり、オプション取引の世界でよく使われる。HVは株価の変動ではなく、株価の変動率の変動を計測した指標である。つまり、株価の毎日の変動率がマチマチだと、HVが大きくなるわけだ。株価が毎日一定の割合で上昇(下降)している場合にはHVはゼロになる。  計算方法は諸説あるようだが、一般的には、たとえば60日間のHVなら、まず、直近60日分の終値の騰落率(前日比率)を計算する。その後、それぞれの数値の自然対数をとり、その標準偏差を出す。そして最後に、年率換算するために√250を乗じる。  デイトレに向いている銘柄群は、このHVが高い銘柄である。HVが大きければ大きいほど、過去の株価が乱高下したことを示すからだ。ただし、個人投資家の方がいちいちHVを計算する必要はない。ネット証券などのスクリーニングツールでは、過去60日間のHVで条件検索すれば、HVの高い銘柄はアッと言う間に抽出できるのだから。 取引終了後にHV100%以上の銘柄を抽出せよ   デイトレ向きの銘柄の(過去60日間の)HVは、100%以上は欲しい。実際のザラ場中のHVはその半分くらい。というのは、HVは終値の騰落率から計算されるからだ。ご存じのように、日本人の我々が夜寝ている間に、NY株式市場や為替市場、商品先物市場などの動向は、翌日の株価に大きな影響を与えている。だから、日中のボラティリティは計算上のHVの半分程度かなと感覚的に思うわけだ。  HVについていえば、当日のHVは、前日のHVの大きさに依存するといわれる。前日のボラティリティが大きかった銘柄は、当日のボラティリティも大きくなりやすく、逆に、前日のボラティリティが小さかった銘柄は、当日のボラティリティは小さくなりやすい。  そのため、前日の取引終了後に、ネット証券のツールでHV100%以上の銘柄を抽出すればよいだろう。その銘柄群は当日もHVが高い可能性が高いのだから。 25日売買代金移動平均を見よ FX  次に必要な条件は、流動性が高い銘柄であること。これは売買代金移動平均を使えばよい。HVが高くても、流動性が低いと売りたい時に売れず、買いたい時に買えないからだ。また、流動性の低い銘柄を売り買いすると、自分自身の売り注文、買い注文で、株価が大きく動いてしまう。このようなマーケット・インパクトを最小限に抑えるためにも、流動性が高い銘柄を選ぶ必要がある。  デイトレなら、売買代金移動平均は25日移動平均をお勧めする。前日の売買代金だけをみるのは危険だ。なんらかの材料が飛び出し、1日だけ売買代金が膨らむことは多々あるからだ。そこで、25日間の売買代金の平均を使うのである。  デイトレで動かす金額にもよるが、ワンショットで200万〜300万円の注文を出す投資家なら、25日売買代金移動平均値は、少なくとも20倍程度(4,000万円〜6,000万円)は欲しいところ。25日売買代金移動平均に関しては、大きければ大きいほどよい。流動性はあるに越したことはない。 つまりデイトレ対象銘柄はこれだ  当然のことながらHVの大きい銘柄は、大型株に比べてはるかに小型株が多い。小型株の方が、小さな資金の流入・流出で株価が大きく変動するからである。このため、運用資金が多くなればなるほど、デイトレ用投資対象は少なくなる。そこで、多額の資金を運用する投資家は、当然の帰結として、原則としてHVの低い大型株を投資対象にすることになる。  デイトレで投資対象を選ぶ場合は、「昨日までのHVが100%超で、25日売買代金移動平均が、自分が買う(若しくは空売る)代金の20倍あるから、売買対象になる」と考えるとよい。なお、これはその銘柄群を買うということではない。あくまでも、デイトレ対象候補である、ということだ。  ちなみに、5月16日時点で、「HV100%以上、25日売買代金移動平均1億円以上」の条件で抽出したのが、別表である。それぞれのチャートをご覧いただきたい。結構派手に動いている銘柄たちではないだろうか。 翌日も相場が上がるとは限らない  MONEYzine(マネージン)の読者の皆さん、こんにちは。  今回から「デイトレ」の連載を担当する藤井です。当連載では株式投資で負けないために、歯に衣を着せず、投資について語っていきたいと思いますので、どうぞお付き合いください。  さて世間一般の常識(?)としては、株式投資の王道は「長期投資」で、短期投資は「邪道」、ましてや、1日に何回も売り買いを繰り返す「デイトレ」なんてもってのほかという認識がある。また、長期投資は、短期投資に比べて、あたかもリスクが低いという風に認識されているフシがある。でも、本当にそうだろうか? 真剣に考え直す必要があると思う。  例えば、証券会社の自己売買部門。いわゆる「ディーラー」と呼ばれるプロの投資家だ。  彼らの多くは宵越しのポジションは持たない。よほど、翌日も相場が上がるという確信が無い限り、その日のうちにポジションはキャッシュ化するんだ。それはなぜか?   リスクを極力抑えるためなんだ。だって、仮にその晩のNYダウが急落したら、翌日は朝から評価損を抱えてスタートしないといけないからね。そういうリスクを多くのプロは回避するんだ。 「リスク資産(リスクアセット)」という言葉は知っているかな?   これは、現預金とは異なり、元本割れ(目減り)もすれば、利益も生み出す可能性がある資産のこと。当然、株式はリスク資産だ。このリスク資産である株式を長く持ち続けるのと、リスク資産である株式を短時間しか保有しようとしない短期投資や「デイトレ」とを比べた場合、どっちがリスクが大きいだろうか?  単純に考えると、 「株式を保有し続けるリスク=その株式のリスク×時間」 ということになるよね。  ということは、投資の王道と言われる長期投資は株式を保有する時間が長いわけだから、短期投資やデイトレに比べて、「めちゃくちゃ大きなリスクを取っているから、めちゃくちゃ儲かる可能性があるけど、めちゃくちゃやられる可能性が高い」と言うべきなんだ。